◎ 今は神楽坂の、藁店(わらだな)に事務所(カルチャーワークス)がありますね。それこそ神楽坂のど真ん中といったところですが、その前は飯田橋の方が事務所だったとか。独立して事務所を持ったのはそこが最初ですか?

藁店(わらだな)にある、ここが源吾朗さんの城
実は最初に事務所を開いたのは神楽坂だったんです。6丁目の地下鉄の駅の近くでね。仲間が凄いところに事務所を開いたと噂して、見に来た人がいたくらいですが、本当はお世話になっていた社長さんの会社の片隅に机を借りたんです。その社長さんももともと演劇の仕事をしていたのが他の事業で成功されて、僕はそこで時々アルバイトしていたんですね。そんな縁でしばらくそこを事務所にしていました。その会社の下働きのようなこともしましたけれどもね。
それでもなかなかそのままという訳にも行かなくて、引っ越しの資金も出来たので新小川町に移りました。8年くらい居ましたかね。それからここに移ってきたんです。

◎ それ以前にはこの地域に出入りしていなかったんですか?
神楽坂には昔一緒に仕事をしていた先輩の娘さんが、矢来町の近くでお店を、スナックですが、やっていました。そこには仲間と良く集まっていましたね。それからはさっき出てきた社長との縁で、この辺りに出入りしていました。そのころは今ほど賑やかなことはなくてね。大人の街、夜なんて出入りできない街なんてイメージでしたね。料亭なんて未だに出入りできませんけれどね(笑)。

◎ 神楽坂には戻ってきたようなものですが。
やっぱりねえ、名刺に「神楽坂」とあるとイメージは違いますよね。最初の事務所の住所で名刺持った時は。源吾朗は田舎の山売って、神楽坂にビル建てたなんて話が出たくらいですから(笑)。そんな気持ちもあって戻っては来たかったんです。気分の問題ですがね。それと和風な家の方がいいなと思って、ここに移ったんです。
◎ 最近の神楽坂の変わりように、なかなかついて行けないという声は多いのですが、源吾朗さんはいかがですか。
いまはひとが増えましたね。表通りばかりじゃなくて、事務所のある界隈も地域散歩のお客さんなどが結構歩いていますし。よくそういった団体での街歩きで、オバサンたちがここの前を通ると「あら、大道芸能座だって。何かしら、フフフフ」と笑うのが聞こえたりするんですこれがまたいいんです。それはそれでいいんですけれどね。ただ賑やかになるのは街にはいいことでしょうが、僕は仕事の時は荷物が 結構ありますからね、それでちょっと駅からの道とか、歩き難くなった印象はありますね。

テレビ出演は新聞でも報道されました
◎ 話しは戻りますが、今になって役者をやって見たくなることはないんですか
ありますね。だから最近になって2時間ドラマの刑事役とか、役者の仕事が舞い込むところもあるんです。山形、天童署の刑事役だから、訛りを出してくれなんて言われてね。皮肉なものですね、訛りを直すために口上芸を身に付けたのにね(笑)。
◎ そういえば「歯肉癌」ですか?病気になったのは
そうなんです。一昨年の話しですね。その結果、ここ数ヶ所は入れ歯になったんです。それでリハビリに口上をやりましてね。主治医の先生ともいろいろ相談したんですが、ともかく治すぞ、と気合いを入れまして。それで100%回復したので、自分の夢の一つとしてCDを出しました。これはアドリブ無しで純粋に口上だけを収録しています。お客さんの前だとアドリブが入って話しが横にそれたりしますから、ちゃんと聴きたい、勉強したいという声に応えた訳です。バナナのたたき売りも門司の方は唄いながらやりますが、東京は啖呵売(たんかばい)といろいろな違いはありますが。ここではいろいろな先生から教わったものと、自分で調べたものとが元になってます。おかげさまで評判もいいんですよ。
◎ じゃあ、これで手軽に口上を学べるという訳ですね(笑)有り難うございました。
取材・文・写真/渡部晋也
源吾朗さんホームページ
大道芸カルチャーワークス:http://www.cultureworks.co.jp/
CD情報:源吾朗の大道芸基本口上集「免許皆伝 大道藝」
源吾朗さんのレパートリーから「ガマの油売り」「南京玉すだれ」「バナナの叩き売り」「物産飴売り」「七色唐辛子」「外郎売り」の6本と、「ガマの油売り」のライブ録音を収録。ブックレットにも細かい解説が有り、初めて聴くひとにも解りやすくできています。
お問合せ:カルチャーワークス 03-5261-9739
カルチャーワークス直接での取り扱いの他、新宿紀伊国屋書店、浅草ヨーロー堂等でも販売中。






